目次
はじめに
「自分がやりたいことがわからない」
おそらく、この記事を読んでいる人の多くが、そんな状態にあるのだと思う。
僕も、そんな状態が長く続いていた。
僕は、自分がやりたいと思っていた分野で起業した。それは僕の夢だった。
だけど僕は、起業しても、楽しくて幸せだと思ったのは、ほんの短い間だけだった。あれだけ好きだと思ってはじめた仕事なのに、毎日逃げ出したくなるほど辛かった。
なぜ僕は、夢を叶えたのに、幸せだと感じられなかったのか。
その理由を探るうちに分かったのは、僕がやりたいと思っていたことは、自分の心の奥底にある「満たされない思い」を埋めるためのものに過ぎなかったということだ。
満たされない思い、つまり、欠乏感は、それを埋めてもすぐに新たな欠乏感を生む。
だから、自分がやりたいと思っていたことをやっても、いつも心のどこかに欠乏感が存在し続け、幸せだとか、楽しいという気持ちが長続きしなかったのだ。
そんな僕でも、自分の心の奥底にある欠乏感を手放す(欲求を手放す) ことによって、自分がいま何をやりたいと思っているか、何に幸せを感じるか、はっきりとわかるようになった。
この記事では、自分が本当にやりたいことをどのように見つけたらいいか、そのやりかたを紹介する。
もし、自分のやりたいことがわからなくて、人生に行き詰まりを感じているなら、自分の心の奥底にある欲求を手放してみよう。
きっと、自分が本当にやりたいと思っていることは何なのかわかるようになるだろう。
新版 人生を変える一番シンプルな方法 ― セドナメソッド ―
なぜやりたいことがわからないのか
そもそも、なぜ人は自分のやりたいことがわからなくなってしまうのか。やりたいことを見つける前に、ちょっとこのことを考えてみよう。
(一応断っておくけど、これから書くことは、全員にあてはまるわけじゃないと思う。読んでもしっくりこないという人は、ここに書いてあることが原因なんじゃないと思うから、他の方法を試してみてみよう)
やりたいことがわからない人というのは、自分がやりたいと思っていたこととか、目指していた目標が、知らず知らずのうちに他人基準になってしまっているケースが結構ある。
ちょっと振り返って考えてみてほしい。
誰でも、やりたいと思っていたこととか、目指していた目標があるだろう。
いい成績を取りたい、いい大学に入りたい、いい会社に就職したい、起業したい、モデルになりたい、理想の人と結婚したい、たくさん稼ぎたい・・・
でも、それは本当に自分がやりたいとか、なりたいと思っているものなのか?
幸せになれるとか、認められたいとか、一目置かれたいとか、ちやほやされたいとか、力を試したいとか、不安を解消したいとか、そういった思いが背後になるなら注意が必要だ。
なぜなら、そういう目標は、世間が造り上げた価値観の上になりたっているもので、その背後には往々にして欠乏感が隠れているからだ。
たとえば、「いい会社に就職して認められたい」という人がいるとしよう。そこには「いい会社に入ることは凄いことだ」という世間が形成した暗黙の了解のようなものがベースとしてある。そして、その上で、「いい会社に就職して認められたい」と考えてそれを目標にするのは、(おそらく自分自身でも気が付いていないほど深いレベルにある感情だと思うけれど)、「自分は周囲から認められていない」と思っているからに他ならない。
だけど、欠乏感に基づいた満足感や幸せは長続きしない。
なぜなら、欠乏感は、たとえそれが満たされても、次の満たされていないものをすぐに見つけてくるからだ。
もし、やりたいことをやったのに、あるいは目標を達成したのに、「なぜか楽しくない」と感じたことがあるならば、そのウラに欠乏感が隠されていた可能性がある。
もし、心当たりがあるならば、これから下で紹介する方法をぜひやってみよう。
自分のやりたいと思っていたことのウラに何があったのか探る方法
まず、自分がやりたいと思っていたことや目指していた目標を思い出そう。
そして次に、なぜそれをやりたいと思っていたのか、心の中をじっくりと探ってみるのだ。そのとき、自分でもなかなか気が付かないほど深いレベルにある欲求にフォーカスしてみてほしい。
ちなみに、欲求というと、マズローの5つの欲求 (生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、尊厳欲求、自己実現欲求) が有名だけど、理解しようとしても難解な本が多いので、ここでは引き寄せの法則を知っている人にはおなじみの、セドナメソッドの基本的欲求 (承認欲求、コントロール欲求、安全欲求、分離欲求) をベースに解説していこうと思う。
(セドナメソッドなんて聞いたことないよ!という人は、この記事を読もう → 僕がおすすめする2冊の本 (その2) - 『新版 人生を変える一番シンプルな方法 ― セドナメソッド ―』ヘイル・ドゥオスキン(著))
新版 人生を変える一番シンプルな方法 ― セドナメソッド ―
さて、僕がいう「自分でもなかなか気が付かないほど深いレベルにある欲求を見つける」とはどういうことか、僕の例で説明してみようと思う。
僕がやりたいと思っていたことは、起業して経営者になるということだった。
では、なぜ僕は起業して経営者になりたいと思っていたのか、思いついたものをリストアップしてみた。
僕の場合、そこで浮かび上がったのが、次の理由だった。
- 社会的に大きなインパクトがあることをしたかった
- 自分の能力を試したかった
- 長く続く会社をつくって、後世に名前を残したかった
- たくさんお金を稼ぎたかった
- 人に使われたくなかった
そして、ポイントはここからだ。
これらの理由の背後にどんな欲求があったのか、静かに自分の内面を深く探っていくのだ。このとき、心にかすかに湧いた感情が、上で紹介した基本的欲求、すなわち承認欲求、コントロール欲求、安全欲求、分離欲求の4つのうち、どれに当てはめまるのか考えるのだ。 (正直にいと、この作業は自分の汚い部分をみるようで本当に嫌なものだ)
僕の場合、その作業を通じて気づいたのは、僕のやりたいことのウラに、次の欲求が隠されていたということだ。
・承認欲求
1から4の理由の背後にあったのは、承認欲求だった。僕は大きな仕事をして、他人から賞賛されたいと思っていた。有名になって、人から「すごいね」と言われたかった。家族によい暮らしをさせて、認められたいと思っていた。
・安全欲求
この欲求は自分でもすぐには気が付かなかったんだけど、4の理由の背後には安全欲求もあった。人生何があるかわからない。僕は自分でも普段気が付かないほど深いところで、自然災害とか戦争とかを非常に恐れていた。だから僕は、そういう事が起きて多額の財産を失ったとしても、住む場所と食糧を確保できるだけの財産が必要だと無意識に思っていた。
・コントロール欲求
5の理由の背後には、コントロール欲求があった。セドナメソッドに馴染みがないとしっくりこない欲求だと思うけれど、これは自分で相手を自分が思う通りに人や物事を動かしたい、変えたい、自分のやり方でやりたい、トップでありたいと思う欲求だ。
・分離欲求
2と3の背後には、分離欲求があった。これも、セドナメソッドに馴染みがないとしっくりこない欲求だろう。分離欲求とは、他人とは違う自分でありたいと思う欲求だ。僕は分離欲求も比較的強かったようだ。
このように、やりたいと思っていたこととか、目標としていたことのウラには、様々な欲求があるものだ。(ちなみに、ここではそれぞれの欲求を大幅に簡略化して書いているので、詳しく知りたい人はセドナメソッドの本を読もう)
(セドナメソッドについての記事 → 僕がおすすめする2冊の本 (その2) - 『新版 人生を変える一番シンプルな方法 ― セドナメソッド ―』ヘイル・ドゥオスキン(著))
新版 人生を変える一番シンプルな方法 ― セドナメソッド ―
そしてすでに書いた通り、こういう欲求を満たすために「やりたいこと」をやっても、「楽しい」とか「幸せだ」という気持ちが長続きすることはない。
なぜなら、欲求を満たすためにあることをやったとしても、欲求がある限り、人は無意識のうちに欠乏している事を見つけだすからだ。
僕は起業してたくさんの人から「すごいね」と言われたけれど、他人から賞賛を得ても、周囲には自分より賞賛を受けている人がゴマンといる。安心感を得るためにお金を稼いでも、さらに安心感をえるためにもっとたくさんのお金がないと不安になる。
欲求は永遠に満たされることがないのだ。
やりたいことを見つけるためにやるべきこと
やりたいことというのは、欠乏感を埋めたいという欲求に基づいていてはいけない。
仮に、欠乏感を埋めたいという欲求に基づいて「やりたい」と思ったことをやって、結果としてその時は欠乏感が埋められたとしても、人の心はまた新たな「欠乏」を見つけ出す。だからいつまでたっても満たされた気持ちになれず、楽しいとか、幸せだという感情を長続きさせることができない。
僕たちは、純粋に楽しいと感じること、幸せだと感じることをやるべきだ。
では、そういった「やりたいこと」をどのように見つけたらいいのか。
もちろん、セドナメソッドのワークで欲求を手放すのが最善だと思う。僕は経験者だけど、セドナメソッドで欲求を手放すと、本当に深い部分に根付いている自分の欲求を取り除ける。
だけど、セドナメソッドに慣れていない人だと、欲求を手放すのに結構時間がかかってしまう。
だから、ここでは手っ取り早い方法を紹介する。(並行して、セドナメソッドを試してみてもいいだろう)
まず、自分は満たされていると思うことだ。実際に満たされてなくても、満たされていると信じ切って、満たされた状態にいる自分になりきるのだ。
たとえば、
・自分には十分なお金がある。
・自分はすでに十分すぎるほど周囲から認められてきた。
・自分には愛する人がいる。(←いつかは記事にしようと思うけれど、愛されるじゃなくて愛するとするのがポイントだ)
そういう状態にある自分を想像し、自分はいまそのような状態にいると思い、なりきるのだ。
そして、自分に何をやりたいか問いかけてみよう。
そうした状態の時に自分がやりたいと思ったことが、今の自分が本当に欲していることだ。
もしかしたら、それはエリートコースを歩むものではないかもしれない。
もしかしたら、それは一般的にお金を稼げると思われている職業ではないかもしれない。
もしかしたら、それは周囲の賞賛を得るにはつまらなすぎるものかもしれない。
でも、それこそが、本当の自分が純粋にやりたいと思っていることだ。
一旦やりたいと思っていることを見つけたら、自信を持って進むべきだ。
そして、進んでみて、やっぱり違うと思ったり、もう飽きたと感じたりしたら、またそこで立ち止まって、考えてみたらいい。
おわりに
「やりたい」と思ったことをやっても、楽しくないし、幸せじゃない。目標を達成したけれど、楽しくないし、幸せじゃない。
自分のやりたいことは何なんだろう?
と、疑問に思ったら、自分のやりたいこと、目標としていることが、欠乏感に基づいたものでないか、よく自分自身を探ってみよう。
これまでに何度も書いてきたとおり、欠乏感に基づいた「やりたいこと」や目標は、仮にそれをやることができた、目標を達成できたとしても、楽しいとか、幸せだという気持ちが持続することはない。欠乏感は、一旦満たされても、すぐに別の欠乏していることを見つけ出してくるからだ。
自分が本当にやりたいと思うことを見つけるためには、自分自身の欲求を手放さなければならない。
自分の欲求が全て満たされた自分になりきってみるのだ。
もちろん、セドナメソッドで欲求を手放すのでもいい。
(セドナメソッドについての記事 → 僕がおすすめする2冊の本 (その2) - 『新版 人生を変える一番シンプルな方法 ― セドナメソッド ―』ヘイル・ドゥオスキン(著))
新版 人生を変える一番シンプルな方法 ― セドナメソッド ―
自分のやりたいことがわからなくて人生に行き詰まりを感じていた人でも、自分が本当にやりたいと思うことを見つけてそれに向かって歩み始めた時、人生はもっと生きやすいものに変わっていくだろう。
(おまけ) もっと早くラクチンにやりたいことを見つけたいと思う人へ
上のステップが面倒くさい、時間がない、という人のために、裏ワザをひとつ紹介しよう。
この裏ワザで効果があるのは、神様だったり、引き寄せの法則だったり、なにか見えないものを信じ切る力がある人だけだと思う。
(引き寄せの法則って何だろうと思ったら → 2018年7月14日 僕がおすすめする2冊の本 (その1) - 『ザ・シークレット』ロンダ・バーン(著))
もし、自分自身に、見えないものを信じる力があると思うなら、次のようにやりたいことが現れるのを信じるのだ。
「僕(私)がやりたいことは、神様が教えてくれる」
「僕(私)がやりたいことは、引き寄せの法則で必ず現れる」
このやり方で人生のすすむべき方向を見つけた少女の話を僕は何かで読んだことがある。
詳細はよく覚えていないから細かい部分は少し違うかもしれないけれど、だいたい次のような内容だった。
カトリックの信者だったその子は身体が弱く、将来は就職して一般企業に勤めるのではなく、修道院に入りたいと考えていたそうだ。しかし決心がつかない。
そこで、「神様、私が進むべき道をはっきり示してください。はっきり示してくださらないと、私にはわかりません」と祈るようになったそうだ。そして祈り続けたある日、彼女はある修道院から手紙をもらった。
それは、その子が修道院に送った手紙の返事だった。
残念なことに、そこには、その子はその修道院に入れないということが少し強い感じで書いてあったそうだ。そのことを、その子は神父様に相談すると、その神父様もその子が修道院に入ることに賛成しなかった。身体が弱くて修道院の集団生活に耐えられないという理由だった。
その子はショックを受けたそうだが、そこで思い出したそうだ。以前、神様に自分が進むべき道をはっきりと示してほしいとお願いしたことを。
その答えだと思ったその子は、修道院に入ることをやめたということだ。
見えない力について少しの疑いもあるとこの方法はうまく行かない (『ザ・シークレット』を読もう) から、難易度は高いかもしれない。だけど、すでに引き寄せの法則を実践している人や、信仰深い人には取組みやすい方法だと思うから挑戦してみよう。